反応は国内ばかりではなく外国からもある。韓国、日本、インドなどの若者らから、自分のギター演奏を評価して欲しいと頼まれ、英語でやり取りしている。「音楽は肌の色、民族、言葉の違いに関わらず、感情を共有できる素晴らしいものです」とクアンさん。
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クアンさんはホーチミン市で生まれ育ったが、結婚後に妻の故郷であるドンタップ省に移った。かつては中部ダナン市で音楽カフェを手掛けたこともあったが、今はカオライン市の貸し部屋で一人で暮らしている。主な財産はギター4本とコンピューター1台だけ。奥さんのことを尋ねると、「自分はふらふらする人間なので、『愛する人は川の流れのように去ってしまった』」とソン氏の歌詞を引用して答えた。
現在のクアンさんの希望は、時代を超えた明るい音楽に人々の心を向けること。もちろんソン氏の歌曲は欠かせない。そのため自分の部屋でギター教室を開いており、生徒20人ほどに教えている。また、毎週火曜日の夜、カオライン市内のカフェでソン氏の歌曲を演奏している。毎年のソン氏の誕生日と命日には、ホーチミン市で行われるソン氏の追悼コンサートにも出演している。
クアンさんは最後に「人は誰も人生で借りを作ることを恐れるものですが、自分にとってソン氏の音楽に借りを作ったことは逆にとても喜ばしいことです」と語った。