「皆さんに伝えたいのは戦争の悲惨さです。全てを失い、痛みだけが残ります。どんな侵略にも本当の勝利などありません。何の罪もない人々が常に戦争の犠牲者です。退役軍人の家族はベトナムも米国も別なく、苦しみを背負わざるを得ないのです」
(C)Tien phong |
マヌスさんは2007年に初めてベトナムを訪れた時、どういう目で見られるのか心配だった。フエを訪ねた際、夫や子供がベトナム戦争に従軍したという家族と知り合った。おずおずと自分の過去を明かすと、怒るどころか家に招待してくれたという。
彼は2009年に、目に見えない戦争犠牲者を支援する「HIVOW」という非政府組織(NGO)を設立した。枯葉剤(ダイオキシン)被害者を支援することが目的だ。クアンチ省やトゥアティエン・フエ省の経済的に困難な被害者家族に食品や衣類などを贈っている。
マヌスさんは最後にこう語った。「戦争の残酷さや痛みを語り、世界に伝えることでしか我々のような退役軍人が心の傷を癒すことはできません。米国に帰って暮らそうとは思いません。ベトナムこそ私の第2の故郷です」