大学受験に3回失敗し、今後の進路を考えていたとき、料理人だった母の勧めをうけて、その道へと舵を切る。「他の兄弟はみな大学に入ったのに、私1人受験に苦しんでいるのを見た母が、料理の勉強をすることを勧めてくれました。最初は興味がありませんでしたが、日増しにのめり込んでいったのです」
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2001年、彼はホーチミンの観光業専門学校の料理人クラスで首席となり、奨学金をもらってベルギーへ留学し、サイゴンツーリストホテルの料理人として研鑽を積んだ。帰国後、再びクラスの首席となり、今度はシンガポールの有名ホテル「ラッフルズ」で働きながら料理の腕を鍛えた。さらに、アジアの料理コンテストで入賞したほか、「各国のスパイス」をテーマにした研究で、アジア料理人協会から「料理の専門家」としての認定を受けた。
卒業後、フーコック島のホテルから料理長の職の誘いを受けたが、彼はそれを辞退する。「料理長をするには忍耐力が必要です。私は生来の短気者なのでお客とトラブルを起こしかねません。私の場合、気分に波が出ると料理の味も落ちてしまいます」こうして彼は料理の美しさを伝える仕事を選ぶ。
彼は現在、ベトナム料理について、さらに精通するため、ベトナム料理に関する古典を読んでいるという。「この本からタンロン王朝1000年の歴史ある宴会料理なども学ぶことができました。古典を読むのは簡単ではありませんが」と彼は語る。
彼の主な活動は、各国の領事館が主催するイベントでベトナム料理を振舞って、母国の食文化を広く世界に知ってもらうことだ。しかし、彼の活動はそれだけに留まらず、ベトナムの家庭料理本を執筆したり、貧しい家庭に美味しい料理を届けるチャリティー活動を主催するなど、日夜忙しく飛び回っている。