しかしベトナム戦争終結後は仕事がすっかりなくなり、タンロンバンドのメンバーだったトンさんと結婚し、一児をもうけた。トンさんの妹トゥエンさんは「ティーさんは献身的に家族の面倒をみていました。兄が糖尿病だったため、彼女は家族の大黒柱としてずっと仕事をしていました」と語る。
(C)Tien phong,TNA、1970年代のゴック・ティーさん |
最近はホーチミン市のライブハウス「ティエンスア」や「ヨーコ」などで、英語曲のスタンダードナンバーを歌うことが多かった。時にベトナム語の曲を歌うこともあった。彼女は「本当はベトナム語の歌のほうが好きなんだけど。お客さんは私が外国の曲を歌うのを好きみたいだから」と話していたという。
歌手ゴック・ティーに関する新聞記事はほとんど見つからない。2010年に外国人記者がインタビューした記事があるだけだ。その中で彼女は「45年間の歌手生活でインタビューを受けたのはこれが初めて」と明かしている。アルバムを1枚も残していないことも残念な限りだ。