フンロン地区に住む漁師のグエン・エムさんとゴ・バン・ニョイさんもパジャマ愛好者だ。楽チンなだけではなく、便利でお金の節約にもなるからという。2人はベランダに座ってお茶を飲む事が多い。普通のズボンだったらすぐにお尻の布が擦り切れてしまうが、「パジャマだったら前後逆にしても使える」とエムさん。そのため、パジャマを仕立てる時には、ズボンにはポケットを付けないよう注文しているそうだ。
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エムさんもニョイさんも、パジャマの仕立てにはこだわりがある。海の民の大半はパンツを含め下着というものを身に付けないため、ヘタな仕立てだと着心地が悪く、大事な部分が顔を出してしまう恐れがあるという。
ファンテイエットの港の近くには、パジャマの仕立て40年以上という女性グエン・ティ・ホア・ダオさんがいる。看板を出してもいないのに、地元の漁民ばかりでなく、評判を聞きつけた別の村の漁民も寄港した際に注文していく。ダオさんは、助手5人を抱えていても注文を裁ききれない時代もあったと振り返り、「最近は既製服や古着のパジャマが大量に出回っていて、仕立てに来るのは50代以上の人だけになった」と語った。