ホーチミン市のベトナム仏教学院内にはHIV/エイズ感染者への差別をなくすことを目的に活動している非政府組織NAVがあり、昨年12月から毎週日曜日に活動を続けている。同学院の尼僧や学生ら25人が、HIV/エイズ感染者を持つ家族の生活への理解を深めるとともに、社会と彼らとの接点となる活動を行っている。
活動の中では、涙を禁じ得ないケースにたびたび遭遇する。感染を恐れた家族に追い出された子どもや、両親とも感染者で周囲の人々から差別を受けている子ども。NAVのメンバーたちはこうした光景を目の当たりにして、感染者に対する人々の意識を変えるため少しでも貢献したいと思っている。広報グループのティク・ハン・ティンはこう語る。「感染者たちは人々の愛の手を必要としています。しかし感染者自身も人生をよりよく生きるために、自ら立ち上がるべきです」
彼らの熱意は世間との接触を避けていた感染者たちにも伝わった。感染者たちは自分の苦しみを打ち明け、子どもをボランティアたちと遊ばせるようになった。ケアグループのチュン・トゥは「はじめは、感染者の家を訪ねても警戒されてうまくいかないことが多かったけれど、徐々に信頼を得るようになっていったの」と話す。
つらい状況に置かれている子どもは多い。勉強ができても学校を休まざるをえなくなった子、両親から感染しその両親もすでにこの世にいない子、学校に行くたび友達から避けられる子・・・。そんな子どもたちにこそ、愛情を注ぐことが必要だとNAVの尼僧たちは考えている。