中部ダナン市にある養護学校のろうあクラスには、アジア児童絵画コンクールで特別賞を受賞した生徒グエン・マイン・クオン君がいる。5学年で学んではいるが今年すでに17歳だ。聴力は子どものころに失ったが、手話でコミュニケーションをとっている。
教室内には「私の夢」と題された彼の作品が飾られていて、作品の下には「コンクール受賞作品」という名誉ある言葉が記されている。ろうあというハンデを彼が負っていることを少しも感じさせない作品だ。
2006年9月、日本の銀行が開催したアジア児童絵画コンクールで賞をとったこの作品は、日本の切手の図案として使われることになり、展覧会も行われた。クオン君は喜びの言葉を手話でこう表現した。「ぼくはしゃべれないし耳も聞こえなくてずっと学校にいるけれど、絵のクラスにいくと外の世界、音のある世界を想像することができるんだ」
日本で展覧会が行われてから、インターネットを通じてたくさんの友達ができたという。ほとんどが同じような境遇の子どもたちで、同じ市内の子どももいれば海外の子どももいる。クオンと親友のゴ・フー・ラムは、情報学のズン先生の助けを得ながら、2人で聴覚障害をもつ青少年のためのウエブサイトを開設した。
ズン先生はこのサイトについてこう語る。「学校のパソコンは台数が少なくて、インターネットに触れる機会もほとんどなかったというのに、ウエブサイトの作成方法を勉強しだして1カ月ほどで作ってしまった。1年ほど経った今、会員は70人近くに達している。青少年のためのサイトとはいっても、会員には40歳以上の人もいておたがいに交流を深めているようだ」
ズン先生によると、最近原因不明のトラブルでサイトがダウンしてしまったという。2人は目下解決に奮闘している。「サイトの修復は大変だが、きっと2人は乗り越えられると信じている」。ズン先生は言う。