群馬県:日本で活躍するベトナム人女医

2006/04/02 07:14 JST配信

 「杉本樹里さんは明るくて優しく、聡明で意見をはっきりいうベトナム人女性だ。日本人にこんな女性はいないだろう・・・」上毛新聞はホアン・トゥイ・バオ・クィエン女医についてこのように書いている。

ベトナム人だからといって負けたくなかった

 1977年生まれのホアン・トゥイ・バオ・クィエンさんは、医師を志すきっかけとなった出来事と子ども時代の夢について語ってくれた。それは南部ホーチミン近郊にあるビエンホア市内の歯科へ両親に連れていかれた時のことだった。彼女はその時とても怖かったが、女医がとても優しくしてくれ、抜歯も成功したため痛みを感じることもなかったという。その周到さや、行き届いた治療に感動し、彼女は大きくなったら自分もその女医のようになりたいと思うようになった。その思いは次第に強くなり、現在に至る。

 彼女は5歳のとき家族とともに日本へ移住した。日本政府の定住者に対する規定によりバオ・クィエンは杉本樹里と改名した。群馬県館林市で、幼稚園のころからずっと日本人の友達に囲まれてすごす中で、彼女は明るく優しく勉強熱心なベトナム人の特性をアピールし続けてきた。

 上毛新聞で彼女はこう語っている。「私の夢はずっと変わりませんでした。日本人の中には外国人が日本の医師国家試験に合格するのは難しいと言う人もいましたが、私はベトナム人だからといって負けたくはなかったのです。」そして、ベトナム人は日本人より劣っているなどということはないと信じる気持ちが彼女に素晴らしい結果をもたらす。高校卒業後、優れた卒業成績を修めストレートで医科大に進むことができたのだ。

 大学時代も彼女は努力を続け、医師国家試験で高い結果を出し、大学も優秀な成績で卒業し、その後館林市の病院で働き始める。

いつも気持ちは故郷に

 また、彼女はいつも故郷を大切にしてきた。そして父が母国の言葉や伝統を小さいころから守ってきたことが彼女にとってずいぶん助けになったと語っている。父であるホアン・カオ・フアンさんはこう語る。「子どもが勉強に夢中になって母国語を忘れてしまうのを恐れ、学校の時間外に私たちはベトナム語の読み書きを教えました。それが少しでも故郷のためになるのではないかと思って。」

 1995年から今に至るまで、彼女は学校の休みに入るとハノイから日本の縫製工場に研修生を派遣することを目的として群馬県を訪れるベトナム視察団のボランティア通訳として参加してきた。

 彼女が日本語を教えたベトナム人研修生は1,000人近くに達する。父ホアン・カオ・フアンさんもまた彼女と一緒に日本でベトナム人研修生の権利を守り、彼らの手助けをしてきた。彼は常に研修生たちの家を訪問してまわり困っていることがないか尋ね、安く食料品を購入するアドバイスをして家族により多くの仕送りができるようにしてきた。

 樹里さんは、海外に住むベトナム人として、不屈の努力と日本人には負けられないという意志を持ちつづけたことが、成功に結びついたと考えている。彼女は現在、日本人の夫と、息子さんと3人で幸せに暮らしている。

[2005年12月23日 Tuoi Tre紙 電子版]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
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