ミエンドンバスターミナル(ホーチミン市:ハノイ・ニャチャン・ブンタウなど北部・中部方面行きバスが発着する)では3ヶ月ほど前からソビエトゲティン通り側の門からチケット売り場までの約600メートル間に5台の電動自動車を無料で走らせている。簡単そうな作りに見えるこの11人乗りの車は「おもちゃの車」と呼ばれ、利用客に親しまれている。その車の運転手には3人の女性が含まれており、この「おもちゃの車」とそれを運転し、チケット売り場の案内役も兼ねる彼女たちのサービスは、ベトナム人・外国人を問わず、バスターミナルを訪れる旅行者に人気がある。
彼女たちの仕事時間は午前6時から午後4時までで、いつでも客を迎えることができるよう、休憩も交代で取る。食事は客がいないときにとることもあり、ご飯を口に運ぼうとしたときに客がやってくることもよくあるそうだ。簡単そうな作りに見える「おもちゃの車」も、実は最新の技術を使用していて、とても精巧にできている。もちろん運転にも高い技術が必要で、女性運転手の1人であるカイン•ティ•ビック•トゥイさんは、タクシーの運転手を12年務めたベテランドライバーだ。その彼女も、「タクシーに乗っていたときはエンジン音を聞けばどこの調子が悪いかすぐにわかったけど、この車に関してはお手上げです。」と言っている。
彼女たちはこの仕事が気に入っているようで、利用客の感謝の言葉で疲れは吹き飛び、差し入れとしてパンをもらったときは本当に感動してしまったそうだ。テト(旧正月)期間中も彼女達は、世間の人たちが家族でテトを祝うのをよそに、「おもちゃの車」を走らせ続けていた。