ホーチミン市:増加する四輪車、このままでは歩行者都市へ

2006/01/18 07:07 JST配信

 ここ数年、政府は交差点の渋滞緩和のため、バイクの規制に力を注いできたが、車に対する規制を重要視しなかったため、現在ホーチミン市では渋滞対策が最重要課題となる危機に瀕している。

 政府機関は、1日50億ドン(約3600万円)もの損害を出していた交通渋滞を緩和するために、躍起となってバイク規制政策に取り組んだため、政策実施年である2001年から2005年までの間、バイクの登録数は減少、一定の効果を生んだ。しかし、バイクの登録数に反比例するように、車の登録台数は、ここ数年で2倍以上に膨れ上がった。2000年の時点で13万1000台だったのが、2005年には、27万5000台を超えている。

 交通監査局のヴォ・ヴァン・ヴァン副局長によると、車の登録はバイクよりも簡単で、IDカードの提示だけで済んでしまうのが原因だという。現在、中国から仕入れた安価な部品をベトナム国内で組み立て生産しており、2006年には、輸入関税が100%~90%に引き下げられるため、車の販売価格の値下がりに伴い、さらに車の登録台数が増え続けると見込まれている。

 現在、1日あたり四輪車平均登録数は、100台を越えるという。バイク1台が走行中に占拠する道路面積が3平方メートルであるのに対し、車1台のそれは22平方メートルであるとすると、大げさに言えば、毎日道路を拡張していかなければいけない、ということだ。この1年、政府は通勤・通学ラッシュ時刻の大型車両の通行規制を行ってきたが、ナム・キー・コイ・ギア通りや、パスター通りなど、市内の主要道路は赤信号になると、途端に車が何百メートルにも渡って長蛇の列をつくる。

 南部交通発展研究センターのレ・クア教授によると、現在バイクを使っている人数のうち僅か7%が車使用に切り換えただけで、市内の道路は車に占拠され、バイク都市ホーチミン市は「歩行者都市」にならざるを得ないという。まずは、市内中心部に交通規正法を設け、徐々に周辺地域へ広げていくようにし、将来的には、市民の足となる公共交通機関の発展を目指さなくてはならない。

 他方、ホーチミン市人文社会科学センターのホー・フー・ニュット教授は、これまで一般の人を対象にしたシンポジウムなどで意見交換ををした際には、「1家族に1台だけの四輪車登録を認め、免許証所持者のみが車両登録できるような制度を作るべきだ」、という意見も出された、と話す。しかし、前出のヴォ・ヴァン・ヴァン副局長は、「そのような意見に共感できないこともないが、免許証所持者だけの登録制度を導入すれば、タクシー会社や、病弱者、障害者がドライバーを雇って車を購入したいときはどうするのか、という問題が浮上する」と話している。

[2006.01.17 Thanh Nien 紙]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved 免責事項

新着ニュース一覧

 ホーチミン市の洋菓子店「ル・プチ・ローラン(Le petit Roland)」は、南部解放・南北統一50周年を記念...
 南部解放・南北統一50周年(1975年4月30日~2025年4月30日)記念事業の一環として、ホーチミン市1区人民...
 栃木県鹿沼市の市文化活動交流館芝生広場で4月19日(土)、「2025ベトナムフェスティバルinかぬま」が初...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 2025年4月4日、ベトナム戦争末期の米軍による「オペレーション・ベビーリフト」の航空機墜落から50年を...
 米国の半導体大手クアルコム(Qualcomm)は16日、ハノイ市で行われたグエン・チー・ズン副首相との会談で...
 ハノイ市ナムトゥーリエム区の国家会議センターで16日夜、ベトナムにおける3件のプロジェクトを対象と...
 政府は15日、少額取引決済向けのモバイルマネーの試行期間を延長する決議第87号/NQ-CPを公布した。 ...
 ライオン株式会社(東京都台東区)は、ベトナムの持分法適用関連会社で、医薬品・医療機器の製造販売を中...
 レ・タイン・ロン副首相はこのほど、フェニカー大学(Phenikaa University、ハノイ市)を、「構成大学と...
 ベトナム空港社[ACV](Airports Corporation Of Vietnam)は4月19日、4月30
 ブイ・タイン・ソン副首相は15日、「2021~2030年国家電力開発計画及び2050年までのビジョン(第8期電力...
 日本政府観光局(JNTO)が発表した統計によると、2025年3月の訪日ベトナム人の数は前年同月比▲5.0%減の6...
 ベトナム航空局(CAAV)によると、2025年1~3月期の航空各社の旅客輸送量は前年同期比+9.2%増の約2070万...
 ホーチミン市人民裁判所は14日、メンバー6万6000人近くの売春斡旋ルートを組織した元締めのグエン・フ...
 日本の財務省が発表した2025年3月の貿易統計(速報)によると、ベトナムの対日貿易収支は前年同月比2.35...
トップページに戻る