ベトナム中部−ダナン市のトゥオン・ライ障害児小学校でボランティアをしている日本人、藤井亜紀先生は、JICA(日本国際協力事業団)の青年協力隊員として赴任して1年半。聴覚障害児、枯葉剤障害児など50人が在籍する同校で、彼女は巧みに手を使って子供たちと交流し、生活に密着した物作りや、人との触れ合い方、英語、手話を通しての会話の仕方、市場にも出せるような手織り製品の製作指導にあたっている。
藤井先生のお陰で、子供たちは絵を通して、暮らしぶりを表現することができるようになったという。藤井先生は、「赴任当時は、隣の子の作品を見て真似する子供が多かったのですが、今ではそれぞれ自分の個性を発揮した独自の絵を書くようになり、子供たちは自分の能力に自信を持つようになってきました」と話す。先日は、「子供たちにもっと広い視野を持ってもらいたい」という思いから、ベトナムの障害者施設でボランティアをしている他の日本人と協力して、日越文化交流プログラムを企画した。子供たちにとって、藤井先生が持ってきてくれたプレゼントは、何事も代えられない大きな宝になったことだろう。
藤井先生は、ダナン市内に在住している。気候や騒音など、初めは生活に慣れるのに大変であったが、徐々に慣れてくると、それもベトナムのいいところだ、と思えるようになってきたと話す。以前、藤井先生が病気で入院した時は、近所の人が心配して看病やお見舞いに来てくれた。今では、近くの市場の人とも親しくなり、買い物に行くと、一番美味しいもの、一番新鮮なものを売ってくれる。藤井先生は任期が終了して帰国したら、家族や友達に美味しいベトナム料理を食べさせたいとのことで、特にダナン風バインセオ(ベトナム風お好み焼き)のレシピ習得の猛特訓中だ。
帰国が迫った今、藤井先生がとても楽しみにしていることは、帰国前にもう一度、ベトナムのテト(旧正月)を迎えられることで、テト休みを利用してたくさんの友人を訪ねたいと今から、意気込んでいる。藤井先生はまた、ベトナムでの生活を忘れないようにと、来年日本の新聞に「ベトナム料理」「ベトナム人のファッション」「ベトナム人の性格」「ベトナム人の看病の仕方」「ベトナムのテト」など、ベトナム生活についての記事を連載する予定だ。