現在国会で、男性の育児休暇制度を盛り込んだ男女平等法案が審議中だが、法案成立に先立ち、男性社員の育児休暇制度を認める会社がホーチミン市に出現している。2004年12月より、有限会社ベト・ティン・フー社は、妻の妊娠中から出産後12ヶ月まで、男性社員に毎月1日ずつの出産・育児休暇所得を認めた。この休暇は法定有給休暇とは別の同社独自の制度で、国内初の男性育児休暇制度だ。
同社のグエン・バック・トゥイン社長は、「経営者仲間はみな口を揃えて、外で養育費を稼ぐのが男の仕事で、育児は女の仕事じゃないかと言うんだけどね」と笑いながら振り返る。彼が男性の育児休暇導入を決意したのは、男性社員トゥアンさんの一言がきっかけだ。ある朝、トゥアンさんは出社したものの、そわそわ落ち着かず、仕事に全く集中していない様子。社長室に呼ばれて言うには、「社長、昨晩子供が一晩中ぐずったので、気になって仕方ないんです。今日は子供と一緒にいたかったのですが、仕事は仕事ですので...」トゥアンさんを帰宅させた後、「トゥアンが仕事を休みたいと思ったのは当然だ。今は病院だって立会い出産を認める時代。妻が妊娠・出産したら、夫の手助けが必要だ。わが社だって社員に配慮すべきではないだろうか」と考えたという。
同社は、2004年12月6日から男性の育児休暇制度を導入しているが、会社経営に悪影響が出るどころか、社員の不安とストレスを解消し、責任感や勤労意欲が増大したという。2006年からは、育児休暇を毎月2日に増やす予定で、同社は育児休暇制度導入が経営の効率化につながると確信している。