警備員派遣会社の知られざる実態

2005/10/14 07:35 JST配信

 今月9日、ホーチミン市内で行方がわからなくなった6歳の男の子が1,200km離れたクアンビン省で5日ぶりに無事保護されるという誘拐事件が発生(関連ニュース参照)したが、逮捕された犯人は男の子の両親が経営する店舗のあるデパートに派遣されていた顔見知りの警備員だった。普段、スーパー、銀行などでよく目にする警備員だが、この事件を境に「警備員って・・・本当に大丈夫なの」という素朴な疑問が投げかけられている。

 ベトナムの警備員派遣業は今が花盛り。スーパーやマンション、オフィスビルが立ち並び「訓練を受けた専門」警備員の雇用需要は急拡大している。そのため、大手警備員派遣会社から独立し設立された「子」会社、「孫」会社が多数乱立している状況である。さらに、これまでこれらの警備派遣会社から警備員を雇っていたあるカラオケ店チェーンの経営者は、「おいしい」商売だと感じ自ら警備会社を作ってしまったという話もあるぐらい設立ラッシュだ。

 最近では、これまで定番だった外資系学校、スーパー、オフィスビルなどでの警備のほかにも、さまざまな警備需要が生まれている。その1つが結婚式での警備だ。これは、浮気が原因で前の妻と別れ、その後新しい若い妻との結婚式を行う時の警備で、前妻が硫酸をあびせるなど「いやがらせ」をする機会は圧倒的にめでたい結婚式の日が高いという事実から警備員の需要が高い。

 このほかには、借金取りの際に警備員を雇うケースも多く、そのため需要が増している。借金の返済期日が来ても、金を返さない会社などには、警備員を雇い、朝っぱらから会社の前で睨みを利かせておくためだ。このほか、土地争いでも雇われる。係争中の土地に勝手に住居を建てる行為を防止するため、土地を四六時中監視させるためだ。もし建築資材を持ち込もうとする相手を確実に阻止する役割を果たす。

 こんな感じで、警備員といっても「用心棒」としても需要もかなりある。さらに体1つでできる警備員は失業中の若者にとっては格好の職種だ。ある警備派遣会社では、警備技術講習代+仕事紹介料として、警備員志願者から講習料を徴収しているところもある。会社からしてみれば、警備技術訓練費用が浮き、さらに人員確保もできる制度は魅力的なのだ。若者にしてみれば警備訓練さえ受ければ必ず「専門」の警備員として職にありつけることになる。

 警備員需要急増の中でおのずと競争も激しくなる。多数の派遣要請があれば訓練途中の警備員を派遣することもあるだろう。このような状況の中、「捕まえてみれば犯人は警備員だった」という盗難事件も多く報告されている。警備員の価値は、我々の生活に危険が及ばないよう警備し、事件を未然に防ぐところにある。しかし既述の事件・実態が実際に明らかになっている事実から、警備派遣会社は今一度管理体制を見直し、自社警備員の悪の芽を事前に摘む努力を怠ってはならないのである。

[Thanh Nien 10/13]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 ホーチミン市内で誘拐されたトアンくん(6)が9日早朝、約1,200km離れた北中部地方クアンビン...

新着ニュース一覧

 ホーチミン市の洋菓子店「ル・プチ・ローラン(Le petit Roland)」は、南部解放・南北統一50周年を記念...
 南部解放・南北統一50周年(1975年4月30日~2025年4月30日)記念事業の一環として、ホーチミン市1区人民...
 栃木県鹿沼市の市文化活動交流館芝生広場で4月19日(土)、「2025ベトナムフェスティバルinかぬま」が初...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 2025年4月4日、ベトナム戦争末期の米軍による「オペレーション・ベビーリフト」の航空機墜落から50年を...
 米国の半導体大手クアルコム(Qualcomm)は16日、ハノイ市で行われたグエン・チー・ズン副首相との会談で...
 ハノイ市ナムトゥーリエム区の国家会議センターで16日夜、ベトナムにおける3件のプロジェクトを対象と...
 政府は15日、少額取引決済向けのモバイルマネーの試行期間を延長する決議第87号/NQ-CPを公布した。 ...
 ライオン株式会社(東京都台東区)は、ベトナムの持分法適用関連会社で、医薬品・医療機器の製造販売を中...
 レ・タイン・ロン副首相はこのほど、フェニカー大学(Phenikaa University、ハノイ市)を、「構成大学と...
 ベトナム空港社[ACV](Airports Corporation Of Vietnam)は4月19日、4月30
 ブイ・タイン・ソン副首相は15日、「2021~2030年国家電力開発計画及び2050年までのビジョン(第8期電力...
 日本政府観光局(JNTO)が発表した統計によると、2025年3月の訪日ベトナム人の数は前年同月比▲5.0%減の6...
 ベトナム航空局(CAAV)によると、2025年1~3月期の航空各社の旅客輸送量は前年同期比+9.2%増の約2070万...
 ホーチミン市人民裁判所は14日、メンバー6万6000人近くの売春斡旋ルートを組織した元締めのグエン・フ...
 日本の財務省が発表した2025年3月の貿易統計(速報)によると、ベトナムの対日貿易収支は前年同月比2.35...
トップページに戻る