“次々とごみ捨て場に捨てられる腐った果物と、それを探し拾い出し行商用三輪車に載せて路地の隅々まで売り歩く者。このようにして多くの人々がゴミを知らず知らずの間に食べさせられている。”
国道1号線から大きな空の運搬用編み籠を載せた行商用三輪車3台がGo Dua通り(HCM市 Thu Duc区)に入ってゆく。我々がその後を追ってみると、そこから200mも走らないうちにゴミ捨て場に到着した。三輪車の3人はここで止まり辺りを1回りして目星をつけた後、潰れかけた中国産みかんの固まりの方へ入っていった。しばらくするとゴミを漁る人々は10人近くになっており、ある者はナイロン袋を持ち、またある者はバケツ、竹編み籠を持っていた。
ゴミ捨て場はぬかるんでおり、吐き気をさそう動物の屍骸や黒くよとんだ汚水の悪臭が漂っていたが、彼らは気にせずゴミに手を突っ込んで、鶏やアヒルの内臓、腐ったご飯、トウモロコシの芯などがぐちゃぐちゃに混ざり合ったなかから中国産みかん、腐って表面に小さな穴があいている梨などを次々に漁っていた。
私は1人のゴミ"収集人"に成りすまし、ビニール袋下げゴミ捨て場に入って行き、そこでこのような話を聞くことが出来た。“朝から何キロぐらい売れたの?”“10キロちょっとないぐらいかねー、ケチなばあさんがずっと1キロ2000ドンでしか買わないと言い張るもんだから、しょうがないからそのばあさんに5キロ売っちまったよ。”
“それだけ売れればいいほうだよ、でもそのばあさんなんでそんなに買って行ったのかね?”私はさらに話を引き出すためにこのように質問してみたところ、そのゴミを漁っている女性は質問している私を見ることもせずさらに続けた。“たぶん、サトウキビと一緒に絞っちゃうんだろうねー、第一それを買ってどうするかなんて誰も聞きゃしないし、売れればそれで終わりだからね。<続く>