ホーチミン市在住4年で現在日系旅行会社に勤める岡野明子さん。このほど日本へ一時帰国された後ホーチミンに戻られNguoi Lao Dong紙に“日本でのベトナム料理”に関する記事を寄稿していただいた。
***日本のベトナムレストラン***
現在日本には多くのベトナムレストランがあり、東京だけでも10軒前後のベトナムレストランがある。まず最初に青パパイヤのサラダ、蓮のサラダ、イカの肉詰め、そしてなんと行ってもベトナム料理の代名詞でもある揚げ春巻きで有名なレストラン「Hoa Hoa」を紹介しよう。
ベトナムレストラン「Hoa Hoa」は2階建てで各フロア−には5~7つのテーブルが並べられている。東京のような地価の高い場所で「Hoa Hoa」のようなスペースを備えたレストランは稀であるといってもいい。メニュー価格も多くの日本人に受け入れられる範囲で、家族で訪れたとして1人あたり平均約60万ドンほどだ。
他にも越僑の映画監督が製作した有名な映画「青いパパイヤの香り」をそのまま店名にした「Du Du Xanh」レストランや、ベトナム北部料理を専門としその中でも特にフォーで有名なJapanese & Vietnam Restaurant Kitchen、ここのフォー1杯の値段は約12万ドンほどだ。さらに、東京から西へ行った神戸にはフォー、揚げ春巻き、生春巻き、カレー、スープなどのベトナム料理を提供する「Soup」というベトナムレストランもある。
***ベトナム語を学び日本でベトナムレストランをオープン***
ベトナムにある日本料理店はそのお客のほとんどが日本人であるし、韓国料理店もしかりであるが、日本においてはベトナムレストランのお客のほとんどは日本人なのである。しかし、お客さんの主流が日本人だからといってもベトナム料理の本質はそのままに保たれている。
まず、ベトナム料理に欠かせないのがヌクマム(魚醤)であるが、ほとんどすべてのレストランではこれをベトナムから取り寄せており、Lua Moi, Nep Moi、ダラットワインなどのアルコール類もすべてベトナムからの輸入されている。値段はダラットワインがレストランによってまちまちだが、1本9万ドンから12万ドンで販売されている。
このほかレストランに飾られているベトナムの絵画も写真も販売され、多くのレストランでベトナム語で書かれた詩がレストランの壁に掛けられている。またレストランではベトナムから持ってきたお皿、茶碗類が使われており、ここでもやはりその主流はバッチャン焼きである。
ここ日本でのベトナムレストランの最大の特徴といえば、ほとんどのレストランのマネージャーがベトナム語を話すことであろう。Masumiさんもその一人だ。Masumiさんはハノイで2年間ベトナム語を勉強したあと資金を投げ打ってこのレストランKitchenをオープンさせた。またこのレストランが北部料理専門というのもそういう理由からである。
ホーチミン市でのバックパッカー街Pham Ngu Lao通りに愛着があり3年間をホーチミンで過ごしたTsuno Mariさんはホーチミン市婦人文化会館のベトナム料理の調理に関する証明書を授かっている。もう一人は伊藤忍さん。忍さんはベトナム語に長けており、同じく日本でベトナムレストランオープンを計画している一人でもある。また以前ホーチミン市Nam Ky Khoi Nghia通りにあるレストラン「La fenetre Soleil」で勤めており、そこで日本人旅行客向けベトナム料理クラスで教えていた経験もある。現在忍さんは来越中で、日本でこれから発行されるベトナム料理特集雑誌のための資料集めに奔走している。
***日本で売られるベトナム食品***
日本ではベトナムレストランだけに限らずベトナム食品や飲料までが大量生産されている。その代表的なものが最も有名なベトナム料理として知られるフォーである。インスタントラーメン作りの手法で生産されたインスタントフォーが日本の企業によって生産されており、また近いうちに中国企業がベトナムフォーで市場に参入する計画もある。
たびたびベトナムを訪れた日本人は次第にベトナムの飲み物、"Sinh To"(コンデンスミルクが入ったフルーツシェイク)に魅了される。現在日本のスーパーマーケットでは、日本製ドリンクのそばに1種類ベトナム語表記(日本語表記はない)のドリンクがある。それが名前もそのままの"Sinh To"だ。1本約3万ドンで販売されており、これも日本企業が生産しており広く流通している。
(文:岡野明子さん)