土地法施行指導書公布、どう変わる土地投機?

2004/11/04 09:57 JST配信

 3日、土地法(2004年7月1日施行)の具体的な条項を定めた土地法施行指導議定書第181/2004/ND-CP号と不動産分野における行政処罰を規定した議定書が正式に公布された。今回の議定書の重要項目は以下の通り。

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●[第101項] 国内組織/企業、越僑、外国人個人/企業が認可済住宅開発区において不動産売買、賃貸ができるのは以下の場合に限定される。

・住宅開発区において住居建設が完了している場合

・また、住宅開発区が大規模でいくつかの小区に分割できる場合は開発区全体の住宅建設が完了していない場合でも該当する小区内の住宅建設が完了した時点で売買・賃貸が認められる。

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 今回の議定書が発効すれば、これまでのように机上の都市開発計画段階での土地投機をを防ぐ役割と同時に、土地開発業者が政府から開発用地を譲り受けたまま開発をせず土地の値上がりを待ち利益を得る行為も防止できるようになる。このような通称“開発棚上げ用地”は市内に無数にあり今回の議定書ではさらにこのような用地で12ヶ月以上開発が行われていない場合、または24ヶ月以上工事進行状況が著しく遅れている場合は開発用地を収用する規定も定められている。

 また市内郊外で多く見られ、大通りに面した目に付く場所にこれから開発する青写真(しかし時期未定)を描いた大きな看板を掲げ、いかにもこれから価値が上がると見せかけ土地投機を誘う行為も減少してゆくと思われる。現在HCM市の土地投機は小康状態だが、投機組の投機範囲はこれまでの市内からDong Nai省(9区からCat Lai橋(予定)を渡った市南東方面)に続く地域やLong Thanh空港が予定されている区域)にまでその範囲を広げており、そのほとんどはある程度広い面積の農地を買い求めている状況であるが、今回の土地法ではこのような農地の個人売買抑制には効力がないと思われる。

 さらに、この法律が厳格に適用されればこれより不動産開発会社が淘汰されてゆき資金力のない会社は廃業を余儀なくされると予想される。これらの開発会社はこれまでは資金がほとんどなくても政府から開発用の土地を譲り受け、荒地の状態でも買い手が付きそれを土地整備費用に回し運営していたが、これからは土地整備・住宅建設までできる資金力が必要になってくる。

 1日の議定書詳細報道後、大手不動産開発会社は土地のみの売買を中止し住宅付物件の売買にシフトし始めている。また既に住宅用土地整備のみでの開発計画を認可されている開発会社ではこれからは住宅建設も行わなければ売買することはできなくなるが、現在の不動産市場の冷え込みを見ると販売できる見通しが立たないばかりか、それを建設する資金に見通しが立たなければ土地整備に投じた資金の回収はおろか12ヶ月を経過すれば収用される恐れもある。

 開発業者が建設する住宅に関してもほとんどの場合、より多くの利益を得るため安価な資材を多用し基礎工事をおろそかにしているため低品質で建設2,3年後には床が沈んだり、水漏れする住宅があとをたたない。。さらに今回の議定書公布によりこのような住宅が多く建設される恐れがあり、それにより住宅開発区の値段が下がり、住宅開発区以外の住宅地、または農地または住宅区移行見込み地区に投機が移る可能性もあるなど、都市住宅開発整備推進を掲げる政策と逆行する恐れもある

 土地法施行指導議定書は10月末にPhan Van Khai首相により署名11月3日正式公布で、公布から15日後に発効する。

[VIETJO ベトナムニュース、参考:NLD, DT, TN]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
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