正午、ヒエップさんはノートパソコンを閉じ、オフィスのそばにあるコンビニエンスストアに向かった。昼食と、昼寝のためだ。
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ヒエップさんは、7区フーミーフン新都市区の会社で働くようになるまでは、コンビニが、理想の昼休みの場所になるなど思ってもいなかった。「この付近だと、1kmほどバイクを走らせなければ、安くておいしいご飯屋さんはありませんから」と言うヒエップさん。彼の働く会社はオフィスビルの6階、コンビニまで5分。時短のため昼休みが始まる30分前にはコンビニのアプリで昼食を注文しておく。
彼と同じような習慣を持つ人は多く、コロナ一過、暮らしが元に戻るようになったところで、その数は急増している。「コンビニなら、食べ物も安くて、涼しく座れるところもあって、清潔で、時間の節約になります」とヒエップさんは言う。
1区、3区、フーニュアン区などのコンビニを眺めていると、最も混雑するのは11時~13時の時間帯。おおむね1店舗あたり300人以上の来客があり、50~100人程度が店内で飲食する。
1区ディンティエンホアン(Dinh Tien Hoang)通りのコンビニ店員によると、2021年はコロナ禍の影響で客足はかなり減ったが、今年に入ってからお昼時の客足が昨年の2~3倍に伸びた。「昨年の店舗の売上は1日200万VND(約1万2200円)程度でしたが、この数か月は800万~1000万VND(約4万8800円~6万1000円)にまで伸びています」とこの店員は言う。
1区マックディンチー(Mac Dinh Chi)通りのコンビニのマネージャーによると、売上は主に、11時30分~13時頃に立ち寄るオフィスワーカーと大学生によるものであり、ほとんどの客が、30分~1時間ほど店内に座る。「土日を除いていつも混雑しています。休む暇もないほどです。お客さんが多いので店員も5人に増やしています。普通は3人で回すのですが」とこのマネージャーは話した。
来客対応のため、コンビニ店員たちは早くから準備をしている。「食べ物は十分に陳列して、店内で調理するものは食材を予め準備します。お客さんがドッとくるので、店員はお昼を食べる時間もなく、ようやく14時頃になって一息、ということも多いです」とファムゴックタック(Pham Ngoc Thach)通りのコンビニ店員が話した。
商工省の統計によると、コンビニの数は近年急増しており、2021年時点でベトナムには3000店舗超が存在し、さらに勢いよく伸びている。