ホーチミン市7区在住の日本国籍の少年Y君(10歳)が、4月上旬に南中部沿岸地方ビントゥアン省ファンティエット市にあるリゾート「センタラ・ミラージュ・リゾート・ムイネー」のプールで溺死した事故について、同市警察は7月28日午前に事故の再現実験を行った。
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再現実験には、警察官や検察官のほか、Y君の母親のH・A・Tさん、弁護士のN・H・V・Kさん(男性)、目撃者のT・T・N・Vさん(女性)も参加し、KさんとVさんが実際にプールに入って事故当時の状況を再現した。
少年は事故があった当日、子供用プールで友人3人と一緒に遊んでいたが、しばらくして姿が見えなくなり、その後、プール壁面に設置してあった金属メッシュに吸い込まれているのを発見された。
プールの深さは1.0m、少年の身長は1.4mだったが、少年は背中と腕が金属メッシュに吸い込まれ、吸引力が強かったため、頭部は水中に沈んでいた。近くで泳いでいた成人男性が助けに入ったが、引き揚げられた時点で既に心肺停止の状態だった。
母親のTさんによると、同市警察は再現実験でまず、長さ1.4m、重さ44kgのダミー人形を使用。しかし、ダミー人形の素材は人体と異なり、可動域も小さかったことから、実験ではダミー人形が金属メッシュに吸い込まれることはなかった。
弁護士のKさんがプールに入って金属メッシュの近くを泳いだところ、吸引力は感じられたものの、さほど強い力ではなかった。しかし、Kさんが金属メッシュに約1分間、背中を押し付けると、非常に強く吸い込まれて激しい痛みが感じられ、背中に格子状の痕ができた。
プールには複数の金属メッシュが設置してあるが、このうち強い吸引力があったのは、少年が吸い込まれた金属メッシュのみだった。
弁護士のKさんは、「再現実験は刑事訴訟法の規定に基づいて行われ、約60分間実施した。再現実験の実施日は、事件発生日から114日も経っており、事故現場と周辺エリアの保存状況は分からない。再現実験が事実確認の目的を達成できるよう、捜査機関に対し、一部事項について捜査を提案する」と述べた。
なお、この事故について同市警察は「業務上過失致死」の疑いで立件し捜査を開始していた。
警察が先般発表した鑑定結果によると、「プールの状態と作動原理は適切」、「プールの設計書と実際の施工は合致しており、プールに設置された設備、プール内の設備設置にかかる技術やプールの活動状態は設計通り」、「プールの水を浄化するための吸引・ろ過・排出システムの作動原理も設計に合致し、プールの活動原理上、水泳中または吸引口の位置に立つ身長1.4m、体重39kgの人間を死亡に至らしめる吸引は不可能」と結論付けられた。