中国国内で実施された新型コロナ検疫で不法滞在していた身元不明のベトナム人女性が見つかり、ベトナムに送還された。女性は自分の名前も住所も覚えておらず、意味不明なことを話していたという。
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この女性は12月8日に東北部地方ランソン省の総合病院に入院。女性看護師が親戚探しに協力して、このほど身元が判明した。この女性T・T・Hさんは、1991年に人身売買被害に遭って中国に売られた。その後、1996年に突然自宅に戻ってきたが、幼い子供を中国に残してきたとして再び中国に渡り、以降は音信不通となっていた。
Hさんは、精神疾患の疑いがあるため、隔離施設から同省総合病院に移送された。主任看護師のルー・ハイ・チャウさんによると、Hさんはとても恥ずかしがり屋で言葉が上手く出てこない様子だったという。
チャウさんは、「彼女は名前も住所も覚えていなかったため、身元を調べるのは大変でした。隔離病棟の看護師は毎日交代で彼女に食事を運んだり、ベッドメーキングをしました。看護師たちは、彼女をよく観察して徐々に距離を縮めていきました」と話した。
入院から10日を過ぎて、だいぶ距離も縮まったが、もうすぐ治療期間が終わるというのに、彼女の身元は依然として分からず、身元引受先となる親戚も見つからなかった。
ある晩、彼女の世話をしていた看護師が紙を渡して「何か思い出したことがあったら書いてみて」と言ったところ、不明瞭ながら幾つかの地名が見て取れた。これをもとにインターネットで探すと、ハノイ市内にそっくりな名前の村があるのを発見。すぐに村の地元当局に連絡して行方不明者の照会を依頼すると、これが見事に当たりで、彼女の弟と姉を見つけることが出来た。彼女の写真を送り、24年前に村を出た自分たちの妹だという確認も取れた。
兄姉が病院に迎えに来たとき、Hさんの記憶がだいぶ鮮明に蘇り、両親の名前を言えるようになったが、中国にいたときの記憶はなぜか殆どが失われたままだった。