絶滅が危惧されていた小型のシカに似た有蹄類「マメジカ(英語:chevrotain、ベトナム語:huou chuot)」の希少種の姿が、ベトナムの熱帯林で約30年ぶりに撮影されていたことがわかった。
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研究チームが11日付けの英科学雑誌「ネイチャー エコロジー&エボリューション(Nature Ecology & Evolution)」に論文を掲載し、明らかにした。
マメジカが発見されたのは南中部沿岸地方カインホア省ニャチャン市の熱帯林。近隣住民の証言をもとに、科学者らは林にカメラを設置し、5か月間で275枚の写真を撮影。続けて29台のカメラを設置し、さらに1881枚の写真を収集した。
この動物は英語の「mouse deer」やベトナム語の「huou chuot」のように「ネズミジカ」と名がついているが、シカでもネズミでもなく世界で最も小さい有蹄動物で、体重は5kgほどしかない。米国の野生生物保護団体「グローバル・ワイルドライフ・コンサベーション(GWC)」の絶滅危惧動物25種のリストにも入っている。
今回見つかったマメジカの希少種は、1910年にニャチャン市で4個体が初めて発見された。しかし、その後は1990年にベトナム中部で発見された1個体の死骸をベトナムとロシアの研究チームがハンターから入手したのを最後に、何十年も姿が目撃されておらず、絶滅が危惧されていた。
専門家は、絶滅していないことが確認されたのは朗報だとしながらも、すなわちこの動物が安全であることを意味するわけではないとし、この種を保護するための対策を迅速に講じる必要があると指摘している。