迷惑電話として一般的に不快な営業方法とされてきた「テレアポ」と呼ばれる電話営業だが、ベトナムではここにきてテレアポスタッフの求人が急増している。
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インターネット上で求職求人情報サービスを提供するエン・ジャパン株式会社(東京都新宿区)傘下でベトナム最大の求職求人サイト「ベトナムワークス(VietnamWorks)」の統計によると、テレアポスタッフの求人が増加している一方で応募者も急増している。
2018年12月末時点で、テレアポスタッフの求人数は前年同期比+12%増に対し、応募者数は同+32%増で、定員1人の求人に26人が応募するという激戦だ。テレアポスタッフの求人が多い分野は、教育・訓練、金融・銀行、コンサルティング・法的サービス。ベトナムワークスでは、2019年もテレアポスタッフの求人は引き続き増加し、求人職種の第2位になると予測している。
ハノイ市雇用サービスセンターのブー・クアン・タイン副所長によると、5~7年前には企業各社は主にカスタマーサービスの求人をしていたが、現在では通信、不動産、銀行、保険、美容外科クリニック、リゾート観光、家庭教師、英語センター、スポーツジムなど幅広い分野でテレアポの需要が高まっている。テレアポスタッフは、営業からコンサルティング、営業、問い合わせ対応、データ入力までをこなす。
募集要項は、聞き取りやすい声色、コミュニケーション能力が高く営業やコンサルティング、カスタマーサポートの仕事が好きで、向上心があることなどハードルもさほど高くなく、時給は2万~2万5000VND(約93~116円)で営業成績に応じたインセンティブがつく。
ハノイ商科大学の経済情報電子商取引システム学部講師のファン・アイン氏によると、テレアポは電話の受け手にとって煩わしく不快な営業方法であるとされてはいるが、依然として最も低コストの営業方法として使われているという。教育分野では、電話100件に1件は契約に結びついており、成功率は1%、ほかの分野でも成功率1~2%で、テレアポによる営業はコストパフォーマンスが高いと言える。
アイン氏によると、年齢の若い人がテレアポのスタッフをすれば業務を通じて忍耐力や問題の解決力を身に着けることができるが、ある程度の年齢を超えると電話の受け手である顧客からのクレームなどで精神的に傷つきやすい傾向があるため、30歳以下の人に向いた職種だという。
人気職種にみえるテレアポは、営業マネージャーなどに昇格し高額報酬を得るようになる人もいる一方で、転職率は30%以上に上る。これは、テレアポが暫定的な仕事として選ばれているほか、テレアポには商品や市場に関する情報収集能力や探究心、問題の処理能力、顧客の声に耳を傾け心を掴む力などが求められるため、誰にとっても簡単な仕事というわけではないことも意味している。
テレアポは新卒者や、経済、外国語、心理学などを専攻する学生がインターンの職種として選ぶことが多く、業務を通して磨きをかけた職業経験やコミュニケーション能力が次の仕事へのステップアップに繋がっている。