ベトナム電力グループ(EVN)のダン・ホアン・アン社長によると、ベトナム南部では2017年から2020年までの間に電力が不足すると懸念されており、年間の不足分は同地域での電力需要の10~15%に相当するという。北部から南部への送電能力は年間185億kWhとなっているが、電力需要は2017年に150億kWh、2019年には210億kWhへと増加する見通しだ。
EVNのズオン・クアン・タイン会長によると、電力不足を補うために2017年から石油火力発電を増強する必要があるが、石油火力発電のコストは石炭火力発電に比べて2倍以上になり、巨額の赤字に陥る可能性があるという。
南部の電力不足問題に対する打開策として、北部から中部、南部への年間送電能力を向上させるため、北中部地方ハティン省ブンアンから南中部沿岸地方クアンガイ省ゾックソイ、南中部高原地方ザライ省プレイクまでを結ぶ500kV送電線の整備を急ぐことが急務になっている。同送電線が2019年に稼動すれば、南部の電力不足を補えるほか、石油火力発電を削減することもできる。
このほか、南中部沿岸地方ビントゥアン省の第1ビンタン火力発電所やメコンデルタ地方ソクチャン省の第1ロンフー火力発電所、同地方ハウザン省の第1ソンハウ火力発電所など、南部における火力発電所建設案件の進捗を加速する必要がある。タイン会長は、各案件のうち1件でも進捗が遅れれば、2019年から南部が深刻な電力不足に陥ることになるとの懸念を示した。