日本の会社で働いているベトナム人労働者から、労働条件が契約内容と異なることを訴える書簡を受け取った駐日ベトナム大使館のベトナム労働管理委員会の代表者は18日、状況を確認すべく岩手県のベトナム人労働者らのもとを訪れた。その結果、訴えの内容と実情に乖離があることが分かった。
同社のベトナム人労働者の数は43人と報道されていたが、大使館に訴えを寄せた当人のHさんは3月中に既に解雇されており、Hさんを除いて実際に働いている人数は8人だという。Hさんについて元同僚のベトナム人労働者8人は、「一緒に住んでいたが集団に馴染むタイプではなかった。仕事も自発的に取り組まず、日本語も学びたがらなかった」と語っている。
8人によると、同社での月給は20万円余りで、家賃や光熱費、その他の生活費を差し引いた後の金額は10万~12万だという。昼食や休憩の時間もあり、日本の祝日と日曜日は休日で、いずれの労働者も労働条件や業務、生活に満足しているという。
労働者8人が住んでいるのは、工場の敷地内に40年前に建設された家屋。25m2の部屋に冷蔵庫1台、ヒーター1台、ダブルベッド4台が備えられている。労働者1人が支払う1か月の家賃は3万9000円、光熱費は8000円となっている。
ただし会社側は、家賃として天引きしている3万9000円のうち、実際の家賃は2万5000円で、残る1万4000円は労働者が将来的に外部の部屋を賃借すると想定し、礼金として支払えるよう会社が代わりに貯めているものだと陳情。
これに対し、大使館のベトナム労働管理委員会の代表者は、地元の他の物件の家賃とベトナム人労働者の住んでいる物件の状況を調査した上で、会社側が提示する家賃は「不適切」としてこれを適切な金額に引き下げるよう要請した。