国際労働機関(ILO)は4日、2015年末にASEAN経済共同体(AEC)が発足した後のASEAN域内での労働市場の変化に関する研究結果を発表した。それによると、域内で1400万人の雇用が新たに創出され、このうちベトナムが6分の1を占めると予想している。
AEC発足後はASEAN10か国内で、技術レベルの高い労働者の移動やサービス、投資、貿易が現在より自由化される。ILOアジア太平洋地域総局の浦元義照局長は、ベトナムでは建設、交通運輸、繊維・縫製、食品加工の各分野で労働市場が拡大するとの見方を示した。
ILOの経済社会問題の専門家フー・フイン氏によると、ハイレベル労働者の移動が自由化されるのは◇会計士、◇建築士、◇技師、◇歯科医、◇医師、◇看護師、◇調査士、◇観光士、の8業種に限られる。
ILOは、ベトナムでは2010~2025年に中レベル労働者の雇用需要が+28%増加すると予想しているが、今のところ職業訓練を受けていない低レベルの労働者が82%を占める。ILOベトナム事務所のジョルジュ・ジラクズキ(Gyorgy Sziraczki)所長は、「ベトナムの若い労働者の雇用機会は拡大するが、低レベル労働者にとってはこのチャンスをつかむことが難しくなる」と警告している。