ベトナム航海総公社(Vinalines:ビナラインズ)の前会長で元交通運輸省航海局長のズオン・チー・ズン被告らによる汚職事件の余波が広がっている。ズン被告の証言で、捜査情報を漏らしていた人物として、ファム・クイ・ゴー公安次官の名が挙がっており、ハノイ市人民裁判所は、国家機密漏洩(ろうえい)で立件するよう検察に要請した。ゴー次官は、公安次官のほかに共産党執行委員を兼任している。
ズン被告の証言によると、ファム・クイ・ゴー次官が汚職事件の捜査を担当することを知ると、罪を逃れるため、ゴー次官に計51万ドル(約5400万円)、汚職犯行捜査局(C48)のチャン・ズイ・タイン局長に2万ドル(約210万円)、更に現場の捜査員に1万ドル(約105万円)を渡した。
その後、逮捕が決まった際には、ゴー次官から逃亡するよう勧められたという。ズン被告の国外逃亡で中心的な役割を担ったのが、実弟で、紅河デルタ地方ハイフォン市警察元副署長のズオン・トゥ・チョン被告だった。同被告には、今月8日に国外逃亡を幇助(ほうじょ)した罪で禁固18年の刑が言い渡されている。
ズン被告はこの他、サイゴン港湾有限会社が所有するサイゴン港(ホーチミン市4区サイゴン港ニャーゾン・カインホイ埠頭(ふとう))の機能移転に伴い展開される不動産開発案件の獲得を希望していたバンティンファット(Van Thinh Phat)グループのチュオン・ミー・ラン社長から100万ドル(約1億0500万円)を受け取ったと証言するなど、政財界を大きく揺るがす暴露を続けている。
なお、同港湾移転後跡地の不動産開発案件は昨年9月、ビングループ[VIC](Vingroup)がサイゴン港湾有限会社との間で、ショッピングセンター、オフィスビル、マンションを含む複合商業施設を建設することで合意している。