野生生物保護学会(WCS)がこのほどホーチミン市で開催したCITES(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)に関する会合で、サイの角や象牙といった野生動物製品の密輸で、ベトナムが世界最大の積み替え拠点となっていることが指摘された。サイゴンタイムズ紙(電子版)が報じた。
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ベトナムCITES管理機関のドー・クアン・トゥン代表によると、2004年以降ベトナムに違法に持ち込まれた野生動物製品は、押収されたものだけでサイの角が約150キロ、象牙が25t以上。これは、押収量としては世界で最も多い水準だという。また、特に南アフリカでの密猟や密輸にベトナム人が関与しているケースが目立ち、毎年約400~500頭のサイが南アフリカで密猟され、その大部分がベトナムに持ち込まれている。
ベトナムが世界最大の積み替え拠点になっている理由として、ベトナムでは密輸に対する罰則が明確に規定されていないこと、また、高い利益が得られることが挙げられる。サイの角は国際市場では1キロ当たり2万5000ドル(約248万円)で取引されているが、ホーチミン市では100グラム当たり約1億3000万ドン(約61万円)で取引されている。これは、ベトナムではサイの角が癌や男性不妊の治療に効果があると考えられているためだが、専門家によると科学的な根拠は一切なく、逆に大量に摂取すれば中毒になる危険性もあるという。