経済貿易研究所のグエン・バン・ナム元所長は、ビジョン策定に当たっては行政改革問題を実際の政治制度に結び付ける必要があると主張。「手続きの改善ばかりに熱心では、先っぽをいじるだけで根本からの改革にならない。効果が少ないばかりか巨額のコストが生ずることになる」と警告した。
人材育成策については、各政府機関は人材育成の重要性を認識しているにも関わらず、実行できていないと指摘した。公務員全体に言える問題として、知識は豊富だが実務能力が不足しており、国民や上司にどう接すればよいのかも知らないと嘆いた。
公務員の給与改革問題については、給与の額と生活水準の関係にばかり関心が向けられているが、基本となるのは労働生産性との関係だと強調。労働生産性が重視されていないため、仕事熱心な職員がいる一方で怠けているのに出世がやたらに早い者がいるのが常態化しているとした。
前出のミン氏は給与政策の問題点について、「我々自身、毎月の収入を把握できていない。複数の次官が公務員の給与では生活にも不十分で家も車も買えないと発言しているが、実際には皆生活できているし中には裕福な者もいる」と補足。コメの値段に換算すれば公務員の給与は1985年とほぼ同じ水準だが、明らかに生活水準は向上しているとした。また「今必要なものは公務員給与の管理制度だが、ビジョン草案では言及されていない」と見直しを求めた。