ホーチミン市人民委員会は、個人の所有する車両台数を抑制すべく、車両取得権利証(Certificate Of Entitlement=COE)の導入について引き続き検討し、第2四半期中に実現可能性調査を完了・提出するよう関連当局に指示した。21日付ザンチー紙(電子版)が報じた。
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COEは1980年代からシンガポールで実施され効果を見せている政策である。シンガポールでも高度経済成長に伴い自動車の需要が高まったが、交通インフラはそれに十分対応していなかった。そこでシンガポール政府は、自動車の輸入税や登録料徴収の税率などを大幅に引き上げたが、自動車の需要は下がらず効果がなかったため、COE(有効期限10年)を導入し、その発行数をコントロールすることで登録台数の制御を図っている。
COE導入の動きに対して専門家らは、人口が少なく面積も小さいシンガポールでは効果が発揮できるが、ベトナムでは効果が期待できないと反対する姿勢を示している。ベトナム全土で導入する場合、COEの価格が自動車価格に上乗せされることになるため地方の所得の低い者にとっては不利になり、また富裕層の多いホーチミン市やハノイ市などの大都市だけで導入する場合、車両が他の地方で登録されてから都市で使用される可能性が高いとしている。
なお、2012年11月末時点でホーチミン市で登録されている車両台数は、◇バイク:530万台、◇自動車:52万台に達しており、市内で使用されている他地方で登録された車両も数百万台に上ると推定されている。道路網の全長が3700キロメートル、総面積が2700万平方メートル程度に留まっているホーチミン市ではこのような膨大な交通量に十分対応できず、交通渋滞が大きな問題になっている。