国家たばこ被害防止計画の試算によると、ベトナム全国で1年間にたばこに消費される金額は8兆2130億ドン(約580億円)で、これはコメ240万トン分(1560万人分の年間食糧)の購入費用、または設備の整った村の医療センター2万カ所の建設費用に匹敵する金額だという。
ベトナムでは男性の50%以上が喫煙者で、同時に女性や子どもの50%以上が日常的に副流煙による害を受けている。喫煙が原因の3つの疾病(肺がん、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、心筋梗塞)の治療費は、医療費総額の20%にあたる1兆1600億ドン(約80億円)に上る。
ベトナムは世界保健機関(WHO)の「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(FCTC)」を批准している。しかし現状を改善するためには、WHOの推奨するたばこの広告禁止、たばこ税の増額、小売価格の引き上げ、パッケージへの警告表示などの方策を取り入れる必要があるという。