東北部フート省タムノン郡ヒエンクアン村で2日と3日、村人数百人が真っ赤な玉を争って大乱闘を繰り広げる「玉取り祭り」が開催された。これは、旧暦1月12日・13日に行われる毎年恒例の伝統的な祭り。
(C) tuoitre |
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この祭りの起源は、ベトナムが中国後漢の支配下にあった1世紀ごろに遡る。当時、「ベトナムのジャンヌ・ダルク」と呼ばれる徴姉妹(ハイバーチュン)が中国支配に対する反乱を起こした。これを支援したのがティエウホア姫で、この祭りはヒエンクアン村にゆかりがあり、生前よく玉で遊んでいたと伝えられているティエウホア姫の功労を称えるために行われているものだ。
村の廟にお供え物をし、いくつかの儀式を終えた後、赤く塗られた竹製の玉(直径4~5cmが3個と6~7cmが6個)が同村を流れるタオ川の土手に運ばれ、これらが穴に投げられた時点で玉取り争いが始まる。ティエンホア姫の伝説の玉は、手にした本人と一家に幸運を呼び込む縁起物とされ、次の祭りまで自宅で大切に保管される。
祭りでは、玉を求める男性参加者らが暴言を吐きながら本気で殴り合い、流血騒ぎの大乱闘に発展する光景が繰り返されることから、全国でも話題となっている。
この大乱闘について同村に住むある中年男性は、「若い頃は、玉取り争いを無邪気な気持ちで楽しんでいた。しかし近年、楽しい思い出の詰まった伝統的なこの祭りが凶暴なものに変わってしまい、残念でならない」と話す。
なお、この祭りは玉取り争いのほか、ユネスコ無形文化遺産として認定されている伝統民謡で、ベトナムの伝説上の王であるフン王(雄王)の時代に生まれたとされるハットソアン(Hat xoan)の演奏も行われ、村人だけでなく多くの観光客の関心を集めている。