- レーダーと対艦ミサイル施設を設置
- ベトナムが主権侵害として強く抗議
- イギリス研究機関が中国の動向を分析
ベトナム外務省のドアン・カック・ベト副報道官は31日に開かれた定例記者会見で、ベトナムが領有権を主張する南シナ海のホアンサ諸島(英名:パラセル諸島、中国名:西沙諸島)のチートン島(英名:トリトン島、中国名:中建島)で、中国がレーダー施設のインフラ整備を完了したとの報道を受けて、強い懸念を表明した。
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副報道官は、海外メディアからホアンサ諸島における中国の動向についてベトナムの見解を求められると、「非常に強い懸念事項であり、ベトナムの主権を脅かす、あらゆる活動に対して強く反対し、抗議していく」と述べた。
さらに副報道官は、「ベトナムは国際法と国連憲章、とりわけ1982年の国連海洋法条約(UNCLOS)を遵守し、平和的手段を用いて自国の主権を断固維持していく」と続けた。
これに先立ち、英紙ガーディアン(The Guardian)は、王立国際問題研究所(チャタム・ハウス)の分析を引用する形でホアンサ諸島における中国の動向を紹介。同研究所によると、中国はチートン島のインフラを大幅に改修しており、対艦ミサイルの発射台とみられる施設や高性能レーダーシステムの整備を進めている。
レーダーシステムが完成すれば、南シナ海を監視する中国の支配力がさらに強まると懸念されている。中国は海南島とチュオンサ諸島(英名:スプラトリー諸島、中国名:南沙諸島)のスビ礁(中国名:渚碧礁)にも同様のレーダーを配備している。
なお、チュオンサ諸島およびホアンサ諸島は、かつては南ベトナム政府(1955年~1975年)の管轄下にあった。ベトナム戦争終結後もベトナムは両諸島の領有権を主張しているが、ホアンサ諸島は1974年以降中国が完全に占領しており、チュオンサ諸島も1988年以降中国が武力行使により一部を実効支配している状況にある。