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「妹の遺骨を受け取るつもりで出たのですが、軍隊の人は私の父(カインさんの祖父)の名前を読み上げたんです。私は立ったまま凍り付き、動揺し、事実を受け入れられませんでした。父は年を取っていましたがとても元気でした。数日前に連絡が取れなかったのは父の携帯電話が電池切れだったせいだと思っていたのに、まさかこんな形で遺骨を手渡されることになるなんて。たった1か月の間に家族を4人も失い、私たち一家はもうぼろぼろで、耐えられません」とフンさんは語った。
フンさんやカインさんたち残された家族は、心を落ち着かせるまでに1か月近くを要した。
最近、ホーチミン市ビンチャイン郡タントゥック町人民委員会の担当者がカインさんの元を弔問に訪れ、カインさんが職業訓練校に通えるよう支援する旨を伝えた。これは、カインさんの家族の願いでもあった。
カインさんはこう打ち明けた。「以前、自分はメイクやネイルが好きなのだと母に話すと、母はもう少し大きくなったら学校に通わせてくれると言いました。私も自分で自分の面倒を見ることができるように、手に職をつけたいと思っています」。
新型コロナは、カインさんやフンさんの家族を次々と連れ去り、家族の周りのすべてを変えてしまった。フンさんたちは夜な夜な、新型コロナのせいでまた家族の誰かが亡くなってしまうのではないかと不安を募らせる。さらに、新型コロナが収束しないことにはカインさんの将来も不透明なままだ。
ホーチミン市ビンチャイン郡人民委員会のダオ・ザー・ブオン主席によると、同郡では9月16日の時点で新型コロナにより両親を失った子供が102人いるという。当局は新年度が始まる前に孤児と残された家族たちを訪問し、励ましの言葉をかけた。
カインさんが暮らすタントゥック町も、新型コロナによりカインさんを含めて6人が孤児となった。同町当局はカインさんへの支援策について、新型コロナの収束後にカインさんの能力に適した職業訓練校を探し、安定した仕事を得られるようサポートする計画だ。