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1年余りが経ち、ズイ君の病状は安定し、日常を取り戻しつつあった。しかし、2021年のテトが始まる1週間前にズイ君は脊椎の痛みを感じた。検査の結果、尾骨に損傷を与える脳腫瘍が再発していることが判明した。
ゴアンさんにとってズイ君の脳腫瘍の再発は、1度目の脳腫瘍が判明した時と同じくらいの衝撃で、すぐに事実を受け入れることができなかった。ゴアンさんが「もう一度診て下さい。どうか息子を助けて下さい」と医師に懇願すると、医師は「5分間考える時間をあげますので、決心したらすぐに入院してください。現在の感染流行状況では、数日後に入院できるかどうか保証はできません。でもお子さんの病状は、そのままにしておける状態ではありません」とゴアンさんに告げた。
ゴアンさんは厳しい現実に引き戻され、その日から親子は痛みと共に再びスタート地点に立った。ゴアンさんは教師の仕事を調整し、その日から現在まで、息子に寄り添っている。直近の検査結果では、ズイ君への投薬の効果が高く、尾骨損傷の痕跡もほとんどなくなっている。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、小児がんを患う子供たちと家族の治療過程はより難しくなっている。集団感染(クラスター)が発生したハノイ市K病院が封鎖された際、ゴアンさんはズイ君をベトドク病院に転院させ、通常の倍の値段で外部から薬を買わなければならなくなった。それでも、適切な治療を受けることができたのは幸運だった。また、今回のハノイ市の社会的隔離措置によって、ズイ君の治療は半月遅れることになった。
この数日間、14歳のズイ君は「ベトナムの勝利のために(Vi mot Viet Nam tat thang)」と題した絵画コンテストに参加するため、奮闘している。入院中に病院で学んだ絵画のスキルを活かしてスーパーヒーローの医師とひまわりの花の絵を描き、感染症との闘いの最前線にいる医療従事者が、とても過酷な状況にありながらもひまわりの花のように明るく輝いた存在であることを表現した。
初めてこの絵を見た時、ゴアンさんの胸は力強い気持ちに満たされた。息子は3年の間に2度もがんと闘いながら、それでも無邪気な明るい笑顔で笑っている。まるで太陽の方向を向いて咲いたひまわりの花のように。