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ここ数年、ホーチミン市のアンスオン交差点に近い国道1A号線沿いでは、道の両側に移動式の路上マッサージ店が並んでいる様子を目にする。
中でもドライバーや労働者に人気なのが、伝統的な民間療法「カッピング(吸い玉)療法(ザックホイ=Giac hoi)」だ。国道1A号線のクアンチュン立体交差橋からアンスオン交差点までの区間の路上店であれば、1回につきわずか5万VND(約230円)で約20分間のサービスを受けることができる。
クアンチュン立体交差橋からアンスオン交差点までの区間は1kmほどの長さだが、10軒を超えるザックホイ店が並んでいる。道具はシンプルで、いくつかのガラス製カップに、温かいオイルの入った瓶、タオル1枚、ライター1本、ザックホイ後のマッサージ用オイル、カップの洗浄用アルコールなど。他には客が寝そべるゴザと枕があるだけだ。
通常、平日は無休で営業し、午後6~7時ごろから準備を始め、8~9時から深夜にかけて混雑する。マッサージ師たちが仕事を終えるのは深夜2時ごろだ。
北部紅河デルタ地方ビンフック省出身のフンさんは、路上マッサージ店を開いて10年余りが経つ。苦労が多いにもかかわらず、フンさんは2007年からこの仕事を続けている。
「他に仕事の選択肢がなかったわけではなく、あえてこの仕事を選んだんです。過去には建設労働者や果物売りなど色々な仕事を経験してきました。昔、故郷に路上マッサージ店があったので、ホーチミン市でもやってみようと思い、転職したんです」とフンさんは語る。
フンさんは、自転車であちこち走って客を探したり、一般的なマッサージ店で雇われて働いたりする代わりに、移動式の路上マッサージ店を最初に始めた人の1人だ。以降、フンさんは同郷の人たちにも路上マッサージ店の仕事を紹介し、仲間を増やしてきた。