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トゥイさんは、「この仕事は賭けです。買い取ったテレビの故障の具合がどのくらいなのか分からないからです。売る人はその場で中身を見せてくれません。部品の中で高く売れるのは、マザーボード、スピーカー、銅線です。もし不運にもマザーボードが焼けていたら、売上の半分を失うようなものです」と話す。
トゥイさんは解体した部品のうち、スピーカーを2万VND(約100円)、マザーボードを4万~6万VND(約200~300円)、カバーを1kg当たり4000VND(約20円)で転売する。中でもスピーカーとマザーボードが最もよく売れるという。トゥイさんは、「解体したテレビ1台から得られる利益はわずか2万VND程度です」と教えてくれた。
「昔は1kg当たり10万VND(約500円)で売れた銅ですが、今はたったの8万VND(約400円)です。テレビの電球も昔は1個1000VND(約5円)でしたが、今は廃品回収の女性にあげてしまうだけです」とトゥイさん。
トゥイさんの仕事を手伝っているのは、末っ子のフイン・フオン・タムさん(男性・31歳)。タムさんは軽度の神経障害を有しており、今もまだ独身だ。タムさんは安定した仕事に就くことができないため、毎日母親のトゥイさんを手伝っている。
トゥイさんには8人の息子と1人の娘がおり、一番上はもう60歳近い。現在トゥイさんは夫と2人の息子と一緒に暮らしている。2人の息子のうち、タムさんの兄にあたるフイン・フオン・タイさん(男性・35歳)は15年間にわたり統合失調症を患っており、トゥイさんは食事から入浴まで、タイさんの世話をしなければならない。
トゥイさんの夫も高齢で、事故で足に後遺症が残っているため仕事がない。「テレビを解体する仕事で得られる収入約500万VND(約2万5000円)から家賃を引くと、うまく家計をやりくりしないと家族は生活できません」とトゥイさんは教えてくれた。
トゥイさんが一番心配しているのは、解体場所の付近で行われている建設工事が終わったら、別の場所へ移動しなければならないことだという。トゥイさんは、「私もどこへ行けばいいのか分かりません。万策尽きた場合は、田舎へ戻って野菜を売るしかないでしょう」と悲しみの表情で語った。