(C) An Huy, Thanh Nien 写真の拡大 |
(C) An Huy, Thanh Nien, 人形に漆を塗るオアインさん(右)と息子(左) 写真の拡大 |
人形制作は木材の選定から始まり、デッサン、彫刻、漆の塗装、銀のコーティング、各部位の組立てと完成までに3日間を要する。繊細ながらコミカルでもある人形の表情は観客の笑いを引き起こし、銀のコーティングは劇中の照明に反射し華やかさを演出する。操者が水上で人形を躍動的に動かすためには各部位の組立も重要だ。
1つひとつの工程を通して人形に魂、人格が吹き込まれていく。また、各地方のお祭りの演目向けに人形を制作する際には、お祭りの歴史や内容、衣装についての勉強も欠かせない。
1回の水上人形劇の公演は複数の演目からなり、1つの演目に使用される人形は5~10体。1公演で使用される人形の数は農業の演題なら20体、歴史上の伝説なら140体に上る。人形の価格は形状や大きさによって1体当たり80万~130万VND(約4150~6700円)で、1体の耐久期間は200公演。
人形制作の仕事だけでは家族が食べていくのにやっとで、オアインさんは仏像の彫刻や古寺の修復なども請け負っている。それでも「水上人形劇は歴史上の出来事や民族の伝統文化を観客に分かりやすく再現しています。水上人形劇を愛し鑑賞したいという人がいる限り、私は人形制作を続けます」と水上人形劇への熱意が冷めることはない。
そして人形制作を学びたいという人がいれば、この先も伝統を受け継いでもらうためにも喜んで伝授したいとオアインさんはいう。