(C)Tien phong、息子の結婚を喜ぶザンさん |
北中部ハティン省カムスエン郡カムミー村は山の中にある。毒ヘビに噛まれた人を治療するという伝統医師を案内に従って訪ねると、家の裏で畑を耕していた。記者の姿を見てあわてるように家に招きいれてくれた。
ズオン・ヒュー・ザンさん(53歳)は「見知らぬ人が来ると、毒ヘビに噛まれた人が出たのかと思ってしまうんですよ」と笑い、取材が目的だと分かると、伝統医になった経緯について詳しく語ってくれた。
ザンさんは1988年に、木材を切り出しに友人と共に森に入った時に毒ヘビに噛まれた。足がパンパンに膨れて歩けなくなり、友人に負ぶってもらってハティン省総合病院に入院した。しかし、1か月近く治療を受けても病状は改善せず、足は膨れたままで腐ったような臭いまで発していた。病院はお手上げ状態で、自宅療養するよう言われたという。
ザンさんは当時27歳で、死ぬにはあまりに若過ぎる。妻のスアンさんは、あきらめ切れずに各地の医者を探すうち、同じ郡内のカムクアン村に住むキア医師の噂を聞き付けた。当時キア医師は83歳。2か月間ザンさんの家に住み込んで治療した結果、ザンさんは奇跡的に回復した。「病院から家に戻された後、多くの人がお別れを言いに来ました。誰も主人が助かるとは思っていませんでした」とスアンさん。ザンさんが自分で歩けるまでに回復したと聞いても信じられず、わざわざ見に来る人も多かったという。