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[特集]

秘伝の解毒薬で、毒ヘビに噛まれた数千人を救助

2014/04/27 07:34 JST更新

(C)Tien phong、息子の結婚を喜ぶザンさん
(C)Tien phong、息子の結婚を喜ぶザンさん
 北中部ハティン省カムスエン郡カムミー村は山の中にある。毒ヘビに噛まれた人を治療するという伝統医師を案内に従って訪ねると、家の裏で畑を耕していた。記者の姿を見てあわてるように家に招きいれてくれた。  ズオン・ヒュー・ザンさん(53歳)は「見知らぬ人が来ると、毒ヘビに噛まれた人が出たのかと思ってしまうんですよ」と笑い、取材が目的だと分かると、伝統医になった経緯について詳しく語ってくれた。  ザンさんは1988年に、木材を切り出しに友人と共に森に入った時に毒ヘビに噛まれた。足がパンパンに膨れて歩けなくなり、友人に負ぶってもらってハティン省総合病院に入院した。しかし、1か月近く治療を受けても病状は改善せず、足は膨れたままで腐ったような臭いまで発していた。病院はお手上げ状態で、自宅療養するよう言われたという。  ザンさんは当時27歳で、死ぬにはあまりに若過ぎる。妻のスアンさんは、あきらめ切れずに各地の医者を探すうち、同じ郡内のカムクアン村に住むキア医師の噂を聞き付けた。当時キア医師は83歳。2か月間ザンさんの家に住み込んで治療した結果、ザンさんは奇跡的に回復した。「病院から家に戻された後、多くの人がお別れを言いに来ました。誰も主人が助かるとは思っていませんでした」とスアンさん。ザンさんが自分で歩けるまでに回復したと聞いても信じられず、わざわざ見に来る人も多かったという。

 ザンさんは命を取りとめた後、キア医師に治療法を伝授して欲しいと頼み込んだ。キア医師は「人命救助は人を幸せにするために行うことであって、利益を得るためではない」と教え諭した後、伝授に同意した。  ザンさんに治療法を尋ねると、薬の作り方は秘伝だから教えられないと断られた。それでも1時間ほど森に入って木の葉を集めて加工した後、数枚の葉とコップに入った白濁した液体を見せながら、「この木の葉で薬を作りますが、毒ヘビの種類によって量や作成法を調整します。飲んだり、蒸気を吸い込んだり、患部に塗ったりして使います」と説明してくれた。  秘薬の伝授を受けてからの25年間余りに、ザンさんはどれだけの人を救ってきたか正確には覚えていないが、数千人に上るだろうという。ザンさんと同様病院に見放された重症患者の命を何人も救ってきた。  当初は無料で治療していたが、旧正月(テト)の度に挨拶に来るなどかえって心の負担になっていることを知り、治療に成功した場合にだけいくばくかの料金を受け取るようになった。ザンさんは今、薬にする葉が家の近くで採れなくなりつつあることを心配している。  

[Lao dong online,8:4 AM, 09/04/2014,O]
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