(C)Bao Dat Viet, フンさんの制作した西洋風棺桶 写真の拡大 |
ズンさんによると、重要な役職につく人物や家族が自ら棺桶を発注することはなく、その部下が注文することになるという。その場合、部下にもコミッションとして契約額の1割程度を払わねばならず、棺桶によってはかなりの金額になる。
棺桶の価格は様々だ。3000万~4000万ドン(約14万~18万8000円)程度のものから、1億7000万(約80万円)のものもある。特殊なデザインや彫刻をほどこすと、2億5000万から3億ドン(約117万~140万円)にも跳ね上がる。公職者が好むのはやはりラオスヒノキだ。この木は香りが良く、木目も美しく、木の持ちがいいため、高級家具や芸術品に使われている。ラオスヒノキの使用は現在禁止されているが、取り締まりが緩いため棺桶にも使用できるのだという。
「ラオスヒノキを使えば、3年後に改葬するときに棺桶を掘り起こしても、全く劣化しておらず、木の良い香りさえ立ちこめる。この木から採れる精油は、古くは遺体を浸すのに使われていて、この木を使えば改葬しなくてもよいと考えられているから、墓を掘り起こしたくない遺族はこの木を使いたがるんだ」とズンさんは明かした。
棺桶ビジネスの儲け額については教えてくれなかったが、最後にズンさんはこう付け加えた。「ラオスヒノキの棺桶がひとつ売れれば、1年は余裕で食べていけるよ」。