(C)Lao dong、若き日の初期隊員 |
北部ホアビン省にあるホアビン水力発電所は、国内最大規模の発電所として有名だが、ダムの点検や修理を専門に行う「潜水別働隊」がいることでも知られている。彼らは要請があれば、国内はおろかラオスやカンボジアの発電所にも出かけて仕事をする。
潜水別働隊は、ホアビン水力発電所が稼働を開始する1986年に誕生した。発足時の隊員は約10人で、その多くがロシアに派遣されて訓練を受けた。国内には大小合わせて数十のダムや貯水湖があるが、彼らのような潜水別働隊は他にない。
彼らが経験した大きな仕事で思い出すのは、2004年5月にホアビン発電所のタービン1基が突然停止した事故だ。北部一帯に大停電を引き起こした。潜水して原因を調べる必要があるが、ちょうど潜水用具を保守点検に出していたためそれができない。仕方なく北部ハイフォン港の沈没船引き揚げ業者に潜水調査を依頼した。
業者の2人の潜水士は、ごみを堰き止める鋼鉄製の網が深さ44メートルの場所で破損しているのを発見したが、思わぬ事故に遭遇し動きが取れなくなってしまった。その後2人は無事に救出されたが、「これほど複雑な状況は初めて」だとして、契約を破棄して帰っていった。