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[特集]

ダムの点検や修理に命をかける、その名も「潜水別働隊」

2013/04/14 08:36 JST更新

(C)Lao dong、若き日の初期隊員
(C)Lao dong、若き日の初期隊員
 北部ホアビン省にあるホアビン水力発電所は、国内最大規模の発電所として有名だが、ダムの点検や修理を専門に行う「潜水別働隊」がいることでも知られている。彼らは要請があれば、国内はおろかラオスやカンボジアの発電所にも出かけて仕事をする。  潜水別働隊は、ホアビン水力発電所が稼働を開始する1986年に誕生した。発足時の隊員は約10人で、その多くがロシアに派遣されて訓練を受けた。国内には大小合わせて数十のダムや貯水湖があるが、彼らのような潜水別働隊は他にない。  彼らが経験した大きな仕事で思い出すのは、2004年5月にホアビン発電所のタービン1基が突然停止した事故だ。北部一帯に大停電を引き起こした。潜水して原因を調べる必要があるが、ちょうど潜水用具を保守点検に出していたためそれができない。仕方なく北部ハイフォン港の沈没船引き揚げ業者に潜水調査を依頼した。  業者の2人の潜水士は、ごみを堰き止める鋼鉄製の網が深さ44メートルの場所で破損しているのを発見したが、思わぬ事故に遭遇し動きが取れなくなってしまった。その後2人は無事に救出されたが、「これほど複雑な状況は初めて」だとして、契約を破棄して帰っていった。

 別働隊は海洋学研究所に出向いて潜水用具を借り受けて自ら調査、網にごみが溜まり過ぎて水の流れが滞った状態でタービンが回っていたことが原因と判明した。プロペラに挟まった木材を小さく切断して事故を乗り切った。彼らはこれを「ウオーターゲート事故」と名付けて教訓にしている。  彼らの仕事は人々の生活を支える電力を守るという重要なものだが、小さなミスでも命を失う恐れのある危険な仕事でもある。そのためもあってか、別働隊には発足から20年間で2人しか新人が加入していない。初期隊員の年齢が上がっており、このままでは解散という事態になりかねない。彼らは本格的に人探しを始め、2011年4月に海軍司令部の協力を得て20歳過ぎの若者2人を採用した。  ディン・ホン・クアンさんとカン・バン・トアンさんの2人のベテラン隊員が指導に付いた。2人の新隊員は卒業試験で深度57メートルの潜水に成功した。クアンさんは2人の成功を自分の事のように喜び、「自分の長い経験の中でも最深記録は61メートルだが、2人は今日、自分の記録にほとんど並んだ」と言って称賛した。  クアンさんと新隊員は昨年末、バディを組んで東南アジア最大規模となるソンラ水力発電所の竣工前のダム検査を行った。クアンさんは感無量の様子で「もう引退しても悔いはない」と語った。  

[Lao dong online,06/04/2013 16:31,O]
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