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国際協力機構(JICA)がこのほど発表した報告書「ベトナム国産業人材育成分野における情報収集・確認調査」によると、ベトナムの労働生産性(就業1時間当たり付加価値)は過去10年間で向上しているものの、ASEAN諸国と比べ低い値で推移している。
国際労働機関(ILO)のデータによれば、2019年のベトナムの労働生産性は13.817USD(約1940円)で、シンガポールの8.7%、ブルネイの10.3%、マレーシアの23.2%、タイの41.2%、インドネシアの56.6%、フィリピンの63.3%にとどまる。ASEAN10か国で8位と最下位グループに属する。
JICAによると、農業から工業・建設業・サービス業への労働移動が過去20年間の生産性上昇に最も寄与したが、労働移動による生産性向上は限界点に近付いている。また、大半の企業が零細・小規模の家内工業で、技術・設備・組織・生産改善のための投資手段に欠けている。
さらに労働者の教育レベル(2020年)をみると、中学校卒業以下が61.2%を占め、高校卒業や技術・専門職の資格保有者は38.8%にとどまる。報告は、ベトナムの労働生産性の低さは教育レベルの低さが原因の一つと指摘している。
報告は結論として、「労働者のスキル向上を図り、グローバルな人材サプライチェーンへの参加条件を満たすことが喫緊の課題」だとし、人材育成制度に大きな変革が必要と提言している。