世界保健機関(WHO)によると、結核の発生が多い世界22か国の結核高負担国のうち、ベトナムは上位から12番目となっている。また、多剤耐性結核(薬剤に抵抗性を持つ菌によって起こる治療が困難な結核)の高負担国27か国うち14番目に多い国となっている。3月24日の世界結核デーに当たって中央肺病院のディン・ゴック・シー院長が明らかにした。25日付サイゴンザイフォン紙(電子版)が報じた。
ベトナムでは毎年18万人余りが結核に新たに感染し、2万人が死亡している。死者数は交通事故死の2倍に相当する。結核は空気感染するため、知らないうちに感染する。感染者のうち、感染がわかって治療を受けているのは6割程度にすぎないとみられている。
1人の感染者は、1年間に10~15人に感染を広げるとされる。一方社会には結核感染者に対する偏見が根強くあるため、病気を隠したり自分で治そうとしたりする人も多く、病気の重体化や感染の拡大につながっている。
シー院長は、国家結核予防プログラムで結核に関する知識の普及と偏見解消の運動を強化し、民間の医療施設にも同プログラムへの参加を奨励する必要があると訴えている。しかし同プログラムは財源と人材が不足しており、十分な活動が行えない状況にある。