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- 中国発の激安EC、国内EC企業の脅威に
- EC市場刺激の旧規定で税収喪失と指摘
- 取締り回避でテムが地場企業を買収か
中国発の越境電子商取引(eコマース=EC)プラットフォーム「テム(Temu)」がベトナム進出を果たしてサービスを開始した。これにより国内のEC市場に大きな変化が生じると見られている。
テムは、中国のPDDホールディングス(拼多多=ピンドゥオドゥオ)が国外向けに運営するオンラインマーケットプレイスで、アパレルや化粧品、家電、家具、雑貨などを激安価格で販売している。
消費者はテムを通じて、中国のサプライヤーから商品を直接購入することができる。テムは宅配会社のニンジャ・バン(Ninja Van)およびベスト・エクスプレス(Best Express)と協力して、4~7日間で商品を配達する。
テムの進出は、ベトナム国内のライバル企業にとって大きな圧力となっている。廉価でデザインも多様であることから、中国産商品は多くのベトナム人消費者から人気を得ている。
首相決定第78号/2010/QD-TTgでは、宅配サービスにより配送される100万VND(約6000円)以下の輸入品は輸入関税と付加価値税(VAT)を免除すると規定されている。
電子商取引市場の成長を刺激する目的で14年前に整備された同規定だが、国境を越えた電子商取引が近年、飛躍的な成長を遂げている中で、前述の優遇措置は大きな税収喪失につながっていると指摘する声が多くあがっている。
なお、インドネシアやタイなどの管轄当局は、国内のEC企業を保護すべく、テムに対する取り締まりを強化している。ベトナム当局から同様の措置を受けることを回避すべく、テムはベトナム国内の既存EC企業を買収することを検討していると噂されている。