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- 半導体人材育成へインフラ投資を促進
- 公的予算と民間資金で計1585億円必要
- 国際基準の設備を持つセンター4か所新設
ファム・ミン・チン首相は24日にハノイ市で開催された「半導体産業人材育成に関する会議」で、半導体人材育成制度を整備し、優遇的かつ具体的な仕組み・政策を策定することを指導し、教育施設や実験室、製作所など、半導体人材を育成するためのインフラへの投資を促した。
グエン・チー・ズン計画投資相はこの席で、2045年までを視野に入れた2030年までの半導体産業人材育成計画案について、「目標達成に向けて、2030年までに主要なタスクと解決策を実行するのに必要な資金は26兆VND(約1585億円)と試算される」と報告した。このうち、公的予算が17兆VND(約1036億円)、企業や機関、組織などによる公的予算以外の資金源が9兆VND(約549億円)となる。
この一環として、国際基準に準拠した設備を備えた国家レベルの半導体センター4か所を新たに整備する。センターは、ベトナム国家イノベーションセンター(NIC)傘下のセンター1か所と、北部・中部・南部の国家レベル大学・地方レベル大学計3校傘下のセンター3か所となる。
計画投資省は、計画案を実施するためのタスクと解決策について、◇半導体分野の講師育成、◇大学・大学院レベルの教育、◇短期トレーニング、◇企業などによるトレーニングの奨励、◇研究開発の促進、◇トレーニング施設と技術インフラへの投資、◇専門家の誘致、◇雇用創出・ビジネス開発のサポート、◇半導体産業における人材育成や国際協力のための具体的な仕組みや政策の策定などを提案した。
なお、2001年から2021年までの期間における世界の半導体産業売上高合計の年平均成長率は+14%となっており、急速な成長を遂げてきた。2023年の売上高は6000億USD(約93兆円)に達したと推定される。半導体産業は今後も力強い成長を続け、2030年までに1兆USD(約155兆円)に達すると予想されている。
半導体製造は現在、台湾に一極集中しているが、台湾が中国に侵攻されて「台湾有事」が現実となった場合、台湾からの半導体輸出が停止することが懸念される。このため、多くの国々が半導体・集積回路(IC)産業の開発に注力するとともに、台湾に依存しないサプライチェーンの構築を図っている。
世界の半導体サプライチェーンにおける主要プレーヤーを目指すベトナムは、世界の半導体企業の誘致や人材育成に注力している。2030年までに同分野の技術者5万人を確保する計画だ。
2024年4月現在、ベトナムで事業を展開している半導体企業は50社以上ある。サムスン電子(Samsung Electronics)やインテル(Intel)などのほか、パッケージング・テスティングを手掛けるアムコー・テクノロジー(Amkor Technology)や、同業のハナマイクロン(HANA Micron)、デザインを手掛けるアンペア(Ampere)、マーベル(Marvell)、ケイデンス(Cadence)、ルネサスエレクトロニクス株式会社(東京都江東区)、シノプシス(Synopsys)、コルボ(Qorvo)、設備製造を手掛けるラムリサーチ(Lam Research)、コヒレント(Coherent)などが含まれる。