こんにちは、福崎雄生(ふくざきゆうき)と申します。第1回のコラム記事「 社会課題解決の前線へ~沖縄地方創生プロジェクトからベトナムへ~ 」からだいぶ時間が空いてしまいましたが、第2回目のコラムとなります。(コロナの影響もあり2020年3月に既に帰国しておりまして、日本からの投稿となります)
今回は 留職プログラム を通して、私が派遣されていた障がい者の雇用創出を推進するIT企業についてご紹介します。
派遣先(Enablecode)はこんな会社
前回お伝えした通りベトナムでは社会的企業(社会課題解決と営利追求の双方を追求する企業体)で働いていたのですが、派遣先はEnablecodeというITベンチャー企業でした。ホーチミン市の2区に拠点を構えています。
Enablecodeは 障がい者雇用を創出することをソーシャルミッション として、WEBサイト制作やBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)をメイン事業として展開をしています。その中で、 障がい者の直接雇用や、フリーランス契約を行うことで、障がい者の活躍の場を創出 しています。
派遣先企業:Enablecode
ホームページ: https://enablecode.com.vn
社会的企業で活動するなかで、これまで関わりのなかったソーシャルセクター(NPOやNGO)とも関わることができるなど貴重な経験を積むことができました。具体的な現地での業務や、学びについて次回以降でご紹介したいと思います。
Enablecodeのチームメンバー
EnablecodeのCEOはイギリス出身で総合系コンサルティングファームにてHR領域のスペシャリストとして活躍してきた経歴を持っていて、彼の豊富な経験がEnablecodeでの障がい者雇用・活躍推進に活かされています。CTOやプロジェクトマネージャーも欧州出身で、人数こそ少ないベンチャー企業ですが多国籍環境で社内コミュニケーションは基本的に英語が使われています。
もちろん現地のメンバーもたくさんいました。英語を使えないメンバーもいるので、バイリンガル(英語、ベトナム語)のメンバーが翻訳・通訳として介在することでコミュニケーションを図っていました(プライベートな時間は英単語とフィーリングを頼りに交友を進めました!!)。
障がい者が直面する社会的格差
最後になぜEnablecodeが障がい者雇用創出をソーシャルミッションに掲げているかという背景について触れておきます。
UNICEFが2016年に発表した調査レポート1によると、 ベトナムの障がい者数は2歳以上の国内人口の7%以上を占める約620万人 に及び、 国内人口の13%である約1200万人の方が障がい者と同居 しています。本調査結果からは障がい者のいる世帯は国内平均よりも貧困傾向にあり、障がい者の方は学校への出席率や成人の雇用率も低く、社会参加における格差が生じていると報告されています。実際に、私自身のベトナムでの活動を通してこのような傾向があることを実感しました。
Enablecodeにおいても障がい者が直面するさまざまな格差を問題視しており、その 格差是正のアプローチとして就労機会の提供に焦点をあて一人ひとりの経済的、且つ社会的な自立の促進 を図っています。なお、その中でも「就労」はキーワードになっています。ベトナム国内の実態として、障がい者の生活支援や能力開発を支援するNPOや政府の支援は充実しているものの、 就労というかたちでの社会参加になかなか繋がっていないという課題 があります。このような背景から人事領域のスペシャリストであるCEOが使命感をもって立ち上げたのがEnablecodeでした。創業は2015年で国内外のさまざまなセクターと協力しながら、事業展開と社会課題解決を推し進めてきました。
次回以降では具体的な事業内容と障がい者の方々がどのような活躍をされているか、その中での私の関わりについて触れていきます。どうぞお楽しみに!
[1] Launch of Key Findings of Viet Nam’s first large-scale National Survey on People with Disabilities