南中部沿岸地方カインホア省ニャチャン市に住むグエン・バン・トゥオンさんは、香木の代表格である沈香に魅了され、2000億VND(約10億円)を投じて自ら「沈香博物館」を建設した。博物館には、「商人が行商から帰って来る国・沈香の国カインホア」をもっと多くの人々に知って欲しいというトゥオンさんの想いが込められている。
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博物館は、ニャチャン市フオックドン村の用地2.2haに建設され、資料展示面積は約5000m2、1時間に1000人の来場客が見学可能だ。展示物はベトナムの美しさ、世界における沈香の研究、沈香の分布図、世界における沈香と信仰のつながり、沈香製品、祈祷エリア、沈香の香りを楽しむエリアなど多数のテーマに分けられて展示され、その数は5000点に上る。
トゥオンさんによると、博物館の総工費は2000億VNDだが、絵画や写真も権利を買収したり友人の助けを得て6~7年かけて収集したという。現在の資料数は展示中のものを含めて1万点に上るという。博物館はオープン前にもかかわらず、既にツアー会社の間で広く知られており、遥々メコンデルタ地方6省から関連当局幹部やツアー会社が視察に訪れたという。
トゥオンさんは昔から香木の香りが好きで、その香りをかぐと魂が落ち着き利他的な精神になるのだそう。そして、カインホアの沈香は世界が認める最高の香木だという。「沈香の国カインホアの文化的特徴について国内外の人に知ってもらうためには、十分な広さが必要でした。アイディア自体は昔からあったのですが、今やっと実現することができました」と広大な博物館建設に至った経緯を語るトゥオンさん。
ツアー会社によると、ホーチミン市からの観光客は中国人を中心に沈香製品に興味を示す客が多いという。さらに沈香は幸運をもたらすと信じられており、同市の多くの企業で珍重され、多額を支払ってでも沈香製品を購入するのだとか。視察に訪れたツアー会社からは博物館見学を行程に盛り込んだツアー商品の研究開発などの提案も出ている。
トゥオンさん自身は沈香を広くPRするために博物館の入場を無料にする方針で、沈香で作ったブレスレットや仏像などの製品販売から収益を得ることを検討している。