「仕事中はいつも音楽をかけて、1つ1つのメロディに酔いしれる感覚を楽しんでいたんです。そこからミュージックビデオを作るというアイデアが生まれました。それで、撮影スタッフとして友人を誘いました。最初は冒険的な瞬間を切り取ったBGM付きの面白みのある動画がメインで、動画はまだ大雑把でシンプルなものでした。でも、動画は予想外にウケて、たくさんの人が応援してくれました。1万件もの称賛や励ましのコメントをもらったのを覚えています」とフンさん。
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(C) danviet、フンさん(右)と父親のレ・ズイ・クオンさん(左) |
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「Hungther19」というフンさんのティックトック(TikTok)チャンネルは、今は3人のメンバーで運営している。普段は自動車修理工場の客が少なく仕事が暇な昼か夕方に撮影する。1回の撮影にかかる時間は約2時間だが、仕事中にアイデアがひらめいたときは、セットを作らずにそのまま撮影することもある。そういった動画の場合は、約30分で撮影できる。
チャンネルを始めてからまだ2年余りしか経っていないが、フォロワー数は54万人超、いいね数は940万回超(いずれも2023年3月下旬時点)という人気チャンネルに成長した。再生回数も数十万回、多いときは1000万回を超えることもある。
フンさんの仲間でカメラマン担当のディン・クオック・タイさん(男性・22歳)はこう話す。「ミュージックビデオは、コロナ禍にフンが大切にしていたコンテンツです。誰もが悲しく辛い時期だったので、感動を与えたくて、僕らで何かしたいと強く思っていました」。
動画はフンさんがシーンを考案し、脚本と監督、編集を兼任する。テーマはコロナと戦う兵士や恋愛、家族愛など様々だ。そして、フンさんの自動車修理工場が「スタジオ」になる。工場にあるものはなんでも大道具や小道具として使う。