台湾人のペン・カン・ユー受刑者(男)によると、Z30D刑務所の外国人受刑者はカンボジアやナイジェリア、タイ、米国など様々な国籍の人がいるため、ベトナム語を学ぶことにより、互いに言葉を交わし、理解し合うことができているという。
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タイ人のプレアヤムーチ受刑者(女)は、学生時代から英語を習得していたことがベトナム語の学習にも役立っており、ベトナム語の授業では先生のアシスタントを務めるほどだ。
「ベトナム語を学習することで、刑務所のスタッフの話を理解することができ、服役にあたり信頼性と精神状態の安定性にも寄与しています。社会は大きく変わったので先のことはわかりませんが、いつかタイに帰ったら、ベトナムに関連する仕事に就き、引き続きベトナム語を使っていきたいです」と、プレアヤムーチ受刑者は今後について語った。
マレーシア人のモハド・ハーフェズ・ゴメス・ビン・アブドゥッラー受刑者はZ30D刑務所で暮らして19年の古参で、ベトナム語をすらすらと操る。刑務所に入ったばかりのころは強情で態度も悪かったが、刑務所のスタッフの気遣いや支援のおかげで、家族の元へ帰って人生をやり直すために自分を変える決心をした。
「刑務所のスタッフの支援と愛情が、受刑者にとって善良な人間に更生する動機付けになります。私自身も7回刑期が短縮され、残すところ10か月で自由の身です。10か月はあっという間でしょう。家族も私の帰りを待っていますから」と流ちょうなベトナム語で話した。
この刑務所で服役した多くの外国人受刑者たちは、服役中の支援に対する感謝の意をノートに記して出所していった。刑務所は犯罪者を捕らえ、罰する場所というよりも、受刑者の教育を行い、心を入れ替えさせ、自信を持たせるとともに、過ちを正して人生をやり直すための場所なのだ。