自身もこの道30年のアオザイ仕立て職人であるダットさんは、仕立て業で一番難しいのは、ほかの村のアオザイとは違うオリジナリティを出して客を惹きつけることだという。オリジナリティを出すには、アオザイを柔らかく滑らかに仕上げられるような縫製の技術が求められる。
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アオザイは手で裾や袖口、ボタンなどをかがるが、この技術を身に着けるには5~10年を要するとダットさんは言う。手でかがるからこそ、ゆらゆらと風に揺れる柔らかなアオザイができるのだ。アオザイは多くの工程を経て仕立てられるが、熟練の職人であれば1日で1着を完成させることができるといい、仕立て料は種類によって15万~20万VND(約700~990円)ほど。
最近ではアオザイの種類やパターンも用途や着る人の嗜好に合わせて多様化しており、注文も増えているそうで、職人らは仕立てを学びたい人がいれば技術を伝授するとしている。テト(旧正月)の時期と結婚式シーズンである8~9月の繁忙期には、人を雇ったり夜通しで作業をして仕上げている。
一方で残りの約8か月ほどは注文が少なく、職人らも農業で生計を立てている。それでも、村の伝統技術、ベトナムの文化、民族の魂を次世代に残すため、アオザイ男性仕立て職人たちはグエン朝の皇帝のアオザイを手掛けたという村の誇りを胸に、国内各地、国外へ向けてアオザイを仕立て続ける。